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「海角七号」という映画に7通のラブレターがあります。

それは1945年敗戦により日本へ引き揚げる若き教師が台湾の女学生にあてたラブレターです。



そのラブレターの部分を転載します。



時代的宿命

口白:蔭山征彥


1945年12月25日。
友子、太陽がすっかり海に沈んだ。
これで、本当に台湾島が見えなくなってしまった。
君はまだあそこに立っているのかい?

友子、許しておくれ、この臆病な僕を。
二人のことを決して認めなかった僕を。
どんなふうに、君に惹かれるんだったっけ。
君は髪型の規則も破るし、
よく僕を怒らせる子だったね。
友子。
君は意地張りで、
新しい物好きで、
でも、どうしょうもないぐらい君に恋をしてしまった。
だけど、君がやっと卒業した時、
僕たちは、戦争に敗れた。
僕は敗戦国の国民だ。
貴族のように傲慢だった僕たちは、
一瞬にして、罪人のくび枷を科せられた。
貧しい一教師の僕が、
どうして民族の罪を背負えよう?
時代の宿命は時代の罪。
そして、僕は貧しい教師に過ぎない。
君を愛していても、
諦めなければならなかった。

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